土佐の細川半蔵頼直が寛政8年(1796年)に著す。首巻、上巻、下巻の三冊からなり、首巻は和時計、上・下巻はゼンマイや錘の重力を応用したからくりについて図面入りで詳しく解説を載せていて、江戸時代最高の機械工学書である。世界的に見てもこの時代においては傑出した機械学の書と言える。
多賀谷環中仙(たがやかんちゅうせん)1730年(享保15年)に著す。京都の漢方医で、数学や機巧の研究もしていた人である。本は松・竹・梅の三巻からなり、上巻にあたる「松」の巻に27種類のからくりが絵巻風に書かれている。傑作なのは下巻にあたる「竹」「梅」の巻で、それぞれのからくりの種明かしを"指南図解"と称して解説している。「唐人笛吹からくり」「唐人の人形笛ふき物いふからくり」「太鼓のからくり」「小かじのからくり」「人形文字書からくり」「三段返りかるわざ人形」「かるわざの人形仕様」など。指南図解の「種明かし」を見ても子供だまし的な感じが強い。「竹」「梅」の巻には32種類のからくりが紹介されている。