九代目玉屋庄兵衛後援会

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玉屋庄兵衛 からくり人形
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からくり人形はこの地域のものづくり文化の原点 〜からくり人形とロボット〜

からくり人形の世界へようこそ

1.からくり人形とものづくり文化

人形を動かすからくり仕掛けは、現代の機械工学にも通じる原理を具えた"機械そのもの"です。機械技術の面では、西欧諸国に比してかなり劣っていると見られがちだった江戸時代の日本に、実は西欧にも存在しなかった「木製ロボット」を作る精密機械技術が完成され実用化されていたことになります。このような木製のロボット文化の影響を江戸時代の昔から受けていたことと、現在の名古屋地方に自動車、産業用ロボットなどの企業が多く、工業製品の出荷高が常にトップクラスにあることとは無縁ではないように思われます。「江戸時代に"木"で精密な機械人形を創り上げたこの技術力が明治以降、西洋の"鉄"を使った新しい機会技術を導入するにあたって威力を発揮し、日本の工業化推進に大きな役割を果たしたことは想像にかたくありません(鈴木礼二『からくり夢工房』2頁)、「からくりを支えたこの技術は、鎖国から開放された明治維新以降に、ヨーロッパからはいってきた新しい機械技術の受け皿となり、この地方での時計産業や自動車産業の発展を促し、今日の産業基盤形成の礎になっているといわれています」(西尾武喜『からくり夢工房』4頁)。
愛知の山車からくりは、京都で生れた人形制作の技術と大阪で始まった大衆人形芝居と名古屋で開花した和時計の技術の出会いから誕生しました。和時計製作と同様に一輌の山車をつくるには、縫師、彫師、大工、指物師など、多くの専門性を持つ職人の技術が必要でした。広い裾野を持つ分業体制と現在の"トヨタのカンバン方式"ともいえるシステムが存在していました。
また、単に物を作る技術ということに留まらず、数百年に亘って、この地域の例祭で演じられる山車からくりは、からくり人形の製作者にとってだけでなく、世代を超えて多くの観客に、親しみや楽しさを与えただけでなく、科学技術への興味の喚起にも重要な役割を果たしたといえます。

2.からくり人形から学ぶロボットの進むべき道

からくり人形は、江戸時代期以来多くの庶民に親しまれた木製の自動人形であり、"江戸のロボット"です。この技術的潮流に乗り、現代のわが国が誇る産業技術、特に各種産業用ロボット、人形ロボット分野における世界的先進国となったともいえます。
からくり人形は、決して人間そっくりの動作を実現することを目的として製作されていません。からくり人形は人間の意志に反して、自ら暴走することもありません。からくり人形は観客や周りの人々を最優先して働きます。からくり人形は誕生した時から人々に見てもらい喜んで貰うという本質をもっています。
人間とロボットの共存は、二十一世紀の科学技術の重要課題の一つであり、この課題を解く鍵はからくり人形にあります。世界で唯一ロボットに対して好意的なイメージを持つ日本人のロボット観を育んだもとはからくり人形といえます。この日本特有のロボット観を生んだからくり人形の現代への継承形態である山車からくり祭がこれからも各地で多くの人々に愛されていくよう、一層の九代玉屋庄兵衛氏の貢献が期待されます。

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