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玉屋庄兵衛 からくり人形
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からくりの基礎知識

からくりとは

「からくり」とは、広辞苑によれば、

からくり[絡操、機関](カラクルの連用形から)①糸のしかけであやつって動かす装置。転じて、一般にしかけ②しくんだこと③絡操人形におなじ=ぜんまい仕掛けで、ねじを回せば動くように造った人形

と定義されています。
「からくり」という言葉は、江戸期の古文書では、「カラクリ」「絡操」「唐繰」「繰」「機関」「機巧」「巧機」「璣」「旋機」「機捩」「関捩」「関鍵」「器機」「機構」など多くの文字で表記されています。科学的・技術的なメカニズム・機構を持って動くものや、手品のトリックようなものまで含めて、今日でいう機械、機構などで"動くものが"、「からくり」と大きくとらえられていました。
人形などの「からくり」を山崎構成氏は次のように定義しています。「(1)機巧はメカニズムである以上機械としての機構を有すること(2)機素と機素との相互関連で一つの運動が伝達されることに依って新しい運動現象が生れ、この(3)現象が連続せられることによって奇想天外な現象が起きる。これが「からくり」である。更らに(4)相対的関連によって生ずるが故に、甚だしく間接的であること、(5)この運動源になるものは人力、物的作用(バネ)又は流体力(水、砂)である。(6)糸操りの如く眼に見えるものではない(7)手妻人形の如く仕掛けを持つ直接的なものではない。換言すれば、「機巧とは機構(機素の相互関連のある)を有し、眼にはその仕組みが見えず、間接的であり、奇想天外な想像を絶する「芸」を展開するものを指す。」(『竹田機巧は現存するか』「日本演劇学会紀要」NO.9、1967年)

からくりの種類

犬山真先からくりには、大別すると、「山車からくり」、「座敷からくり」と「芝居からくり」があります。「山車からくり」は神社の祭礼で神の依り代が乗る山車にからくり人形を乗せ、神事を中心に据えたからくりであり、「座敷からくり」は高級な玩具として発達したからくり。また、「芝居からくり」はからくりの面白さを多くの人に楽しんでもらう事を目的とした興業としてのからくりといえます。


1.山車からくり

山車からくりの仕掛けは「糸からくり」「離れからくり」の二つに分類されます。

巫女が鈴と扇を持って舞う(1)「糸からくり」
人形の内部に仕掛けられた糸によって演技をします。山車の上山(うわやま)に乗せた人形を下の中山(なかやま)に待機する人形方(にんぎょうかた)が、仕掛けられた何本もの糸を巧みに操作して人形に演技をさせます。糸で人形を使うものに西洋の「操り人形」や現在関東地方で伝承されている「結城座」の操りがありますが、これは糸を吊り下げて上から操作するもので、糸からくりと同列に見ることはできません。糸からくりは基本的には観客に人形自身が単独で演技しているように見せることをねらっています。演目の筋書きを能、狂言、芝居などに取り、芸の細かさをじっくりと楽しんでもらうタイプが多いのが特徴です。


(2)「離れからくり」
体内の機械仕掛けを使って人形自身が人間の手を離れて動作をします。人形がさまざまな動作を行うのを売りものにしています。見物の方は仕掛けに対する好奇心も手伝って、人形の動きに思わず引きこまれてしまいます。"代表選手"としては「綾(あや)わたり」「大車輪」「乱杭(らんぐい)渡り」「倒立の鉦・太鼓たたき」があります。

綾(あや)わたり「綾(あや)わたり」
上山の木の枝などに取り付けた「綾」と呼ばれる棒に人形が掴まり、次から次へと別の綾棒に渡っていく "ウルトラC"の離れ技を見せてくれます。仕掛けは体内に背見鯨のヒゲ(歯)を加工したバネが仕込まれていて、これの動きで体を反り返らせ、反動をつけて、綾棒に手や足を引っかけるようになっています。


「倒立の鉦・太鼓たたき」
唐子人形が蓮台の上から相棒の人形の肩、あるいは木の上に片腕で逆立ちして、もう一方の手で鉦や太鼓を叩いてみせます。この人形の仕掛けには、下から差し金(さしがね)で操作します。

唐子人形の倒立

「大車輪」
体操競技の鉄棒でよく目にするものと同じで、人形が棒に掴まり、手に装置した掛け金がかかると体操選手さながらの大車輪を始めます。

唐子が舞竹につかまり、2回転する

乱杭渡り「乱杭渡り」
尾張からくりの中でも傑作といえます。名前の示す通り、山車の上にしつらえた高低まちまちの乱杭の上を、ご丁寧にも高下駄をはいて渡るものだから驚きです。"人間様、顔負け"の芸当を人形がこなしてしまう仕掛けは、実は高下駄にあります。人形の高下駄が杭の上に乗ると、高下駄の中の掛け金を乱杭の真下から差し金を使って乱杭の内側に固定させます。次に、金属製の棒で、固定した方の足を突き上げると、その力が連動する別の足へ働き、次の乱杭へと渡っていくという仕掛けになっています。 総じて、「糸からくり」が、筋書きのある演技を得意としる"芝居"的要素が強いのに対し、「離れからくり」の方は、アクロバットを得意としる"サーカス"的な面白さを呼びものにしていています。


犬山祭梅梢戯 片手倒立
犬山祭日蓮星下り からくり:乱杭渡り
犬山祭西王母 からくり:綾渡り
犬山祭 住吉 からくり:折畳み変身

2.座敷からくり

座敷からくりの歴史としては、室町時代には簡単な仕掛け付きの人形が現われ、安土桃山時代には仕掛けも精巧味を帯び織田信長、豊臣秀吉なども楽しんだとされるからくり玩具が誕生しています。公家、大名など身分の高い階層の人々が愛玩する御所人形などに代表される高級な玩具として発展した。
代表的な座敷からくりとしては、「茶運人形」「弓曳童子」「段返り人形」「品玉人形」などがあります。

茶運人形 弓曳童子 品玉人形御所人形段返り人形
茶運人形
文字書き人形
弓曳童子

3.芝居からくり

芝居からくりは初代竹田近江が寛文2年(1662年)「機捩戯場(からくりしばい)」として大阪道頓堀に旗揚げ公演したものが始まりとされます。(『摂津名所図会』)竹田からくり芝居は、機械仕掛けのからくり人形と糸仕掛けのからくり人形、それに永代時計などのからくり道具の組み合わせで構成されていました。大阪を皮切りに京都、名古屋、江戸の各地を旅興行して廻り、行った先々の神社、寺院の境内に「竹田からくり」の看板の小屋掛けをして興行を行っていました。
現在日本で行われている芝居からくりには、南九州市知覧町の豊玉姫神社「水車からくり」、南さつま市加世田の竹田神社「水車からくり」、桐生市の「桐生からくり人形芝居」(桐生からくり人形芝居館)、福岡県八女市の「八女福島の燈籠人形」)などが有名です。
この地域の芝居からくりとしては、知立祭り(愛知県知立市知立神社)の山車において、からくり浄瑠璃が演じられます。これは、からくりのメッカ愛知県でも珍しいものです。一台でからくり浄瑠璃が演じられ、他の三台の山車では文楽が演じられます。江戸期には、上段でからくり、下段で人形浄瑠璃という二種の催し物が四台それそれの山車で演じられていました。

摂津名所図会

からくりの動力

からくり人形を動かす動力には、「山車からくり」では、糸や差金で直接人が操るもの(人力)と「離れからくり」などを自動で動かすセミクジラのヒゲを用いるゼンマイがあります。「座敷からくり」においては、ゼンマイのほか、水銀、砂、水の重力を用いるものがあります。また、水力で水車を廻し、歯車を動かしておこなう「水車からくり」、花火などの火力を使う「綱火」があります。